カスタマーサクセスという言葉がここ数年注目を集めてきています。経済の先行きが不透明なことや、サブスクリプションビジネス(所有から利用)のように、ユーザー側の価値観が変わりつつあることが背景にあり、取り組みを始めている企業が増えてきているようです。

wikiぺディアの記述もまだまだ詳細が少ない状態ですが、「カスタマーサクセスとは継続率とLTVを最大化することをミッションとする組織・職能のこと」となっています。

LTVとは、ライフタイムバリューの略で、1つのお客様(個人や企業)が生涯どれだけ価値を生み出すのかという概念です。
つまり、1億円の取引を一生に一度するお客様もいれば、100万円の取引を毎月10年間続けて、1億2千万の取引をするお客様もいる中で、LTVを最大化するにはどうすれば良いかというミッションを担うのがカスタマーサクセスとなります。

それでは、継続率とLTVを最大化するには、どのようなことが必要でしょうか?

一言で言えば、お客様がその製品やサービスを利用して成功することが必要と言われています。なぜなら、お客様の成功無しにパートナーを続けていくことは困難だからです。「ウチの会社は約束どおりサービスを納品したのだから、あとはお客様でお願いします」という考えが今までの当たり前だったかと思います。

しかし、それでは継続率やLTVの最大化は結局のところ、お客様任せになってしまいます。カスタマーサクセスでは、どのようにサービスを活用したらお客様側が最大限成功に近づくのか、などを考えた一歩先での関わり方が必要になってきます。

そのために必要な考え方として、
「売ったら終わり」から、「売ってから始まり」
という考え方に変えていくということです。
サブスクリプションビジネスに置き換えると分かりやすいですが、例えば毎月10万円のクラウドサービスをいかにお客様のビジネスに活かせるかという目線で考え、継続的に使ってもらうかということです。「やはりウチの会社には使いづらいな」と言われて3ヶ月で解約されてしまうか、「ウチの会社にマッチしている」と言わせて何年も使い続けてもらうかでLTVは何十倍にもなり得ます。

売ってから始まりであれば、どのくらいの頻度で、どのようなコミュニケーションの機会を持つ事が必要なのか、それぞれのお客様毎に計画立てて実行していく事が必要になってきます。なんとなく、営業マン任せにしてしまうと、LTVの観点で大きな取引になりうるお客様も、おざなりにしてしまうことで最大化出来ないことも考えられますので、組織全体として取り組みをしていく事が大切です。

カスタマーサクセスを考える最大のメリットは、継続顧客が増えることで、売上が安定し、計画が立てやすくなることが上げられます。冒頭に申し上げた通り、先行きが不透明な中、毎年単発の大きい仕事を狙い続けることは非常にリスクが伴います。また、良い時は人を大量に採用して案件をこなしても、悪い時は解雇せざるを得なくなり、結果的に良い人材も定着しなくなってしまいます。(そもそも今は採用難のため、大きな仕事を行うには協力会社が必要ですが、、)

海外では、すでに専門のカスタマーサクセス職もあり、人気の職種となっているようですので、これから日本でも目にする機会が増えて来るかもしれません。

お客様の成功とは、一言で言っても非常に概念も広く、難しいことですが、今後売上を安定化させて行きたい企業にとっては必要な概念に間違いありません。