BtoBの事業を行っている上で、クライアントと長期に繋がることは売上の安定に大きく貢献します。

最近主流になって来ているサブスクリプション系のサービスでは、WEB上での情報収集が容易なことから、顧客はいつでもサービスの比較が出来たり、簡単に切り替えてしまう事も可能な時代になって来ました。このようなIT系のサービスは以前◆vol.112「カスタマーサクセスを考えるメリット」でも記載しましたが、対面でクライアントと向き合う事業の場合はどのような事に気をつけるべきでしょうか?

私の考える答えはシンプルで、商品やサービスそのものではなく、価値を提供する事でクライアントの事業に貢献する事です。価値>費用が成立している限りは、多くの場合は継続するでしょう。

その上で、「価値」の定義をどう捉えるべきかが重要です。価値を直接的に定量評価出来るものと、そうでないものがありますが、例えば直接的に測れるものとして、
・収益が増加する
・コストが節約出来る
・時間が節約出来る(つまり、その他のより良い業務に集中出来る)

などがあります。直接的に測れないものとしては、
・商品の質そのものが向上する(結果的に収益に繋がるタネになる)
・セキュリティなど、安心感が向上する(結果的に収益に繋がるタネになる)
・離職率が低下する(結果的に採用コストの節約、安定したサービス提供に繋がる)

などが挙げられるのではないでしょうか?直接的に定量評価が出来なくても、最終的な価値との因果関係が把握出来ていれば、価値>費用を判断することは可能です。

営業時に、価値の合意が出来ていないことから、「他社の方が良さそうだ」、「効果が出ているか分からない」(この場合は、そもそもの評価軸を決めなかった事が悪い)などの理由で、サービスや商品が悪くない場合にも継続に至らない事があるのです。

基本的には企業は目標(あるべき姿)を設定し、現状から目標に向けて事業を推進します。その上での様々な課題解決のため、各ベンダーが商品やサービスを提供している訳ですので、全体の中で数ある課題のどの解決策に向けた価値なのか、お互い共通認識を持たなければならないのです。

よく営業が過度な期待値を持たせて契約を締結し、想定した効果が出ないため契約を解除される話を聞きます。経営の立場で見れば、LTV(生涯顧客価値)の低いクライアントにおいては非常に無駄なコストを裂く事になります。リード獲得から提案までの営業コストから、クライアントの要望に答えるための膨大なやりとりにかかる人的コストまでを考えると、価値の合意が出来ていない事で解約に到ることは大きなマイナスになると言えます。

継続しない事で売上が安定しない、減少するといったばかりか、それまで投資した費用を回収出来ない事も考えられますので、長期的に繋がる事は事業の基本的な考え方と言えるでしょう。